忍者は猫を飼っていて身近においておき、その瞳の開き具合から時刻を知ったという話がある。甲賀とか伊賀の忍者博物館でも、そういった展示があると聞いている*1。口訣として「六つ丸く、五七タマゴに、四つ八つは柿の種、九つは針。」が伝わっている。
少なくとも江戸時代は十二支の太玄数で時刻をよんでいた。子、午刻が九つ、丑、未刻が八つ、寅、申刻が七つ、卯、酉刻が六つ、辰、戌刻が五つ、巳、亥刻が四つ、というわけだ。六つは明六つと暮六つがあって、それぞれ卯刻と酉刻ということになる。
余談だが、江戸落語の時蕎麦の冒頭で男が一文誤魔化すのに成功したのが九つなので、江戸の人は割と深夜まで活動していたようだ。
閑話休題、私のネット上の知人にCOMPLEX CATさんがいる。先日、『台風一過』というエントリをあげられていたのだが、猫のチコさんの瞳が結構細い感じだったので、お昼頃の写真か?というブックマーク・コメントをつけたところ、これが大外しで、なんと07:56*2の撮影だった。
猫の目時計は、猫の瞳*3が周囲の光量に応じて広がったり閉じたりするのを利用している。そのため、猫の目時計を較正するためには、まず太陽高度を知って光量の指標となる値を算出する必要がある。具体的には高度のsin値だ。そして季節によって太陽高度の最高値も変化する、具体的には夏至で一番高く、冬至で一番低い、ことを考慮して較正を行う必要がある。そこで冬至と夏至の中間であろう秋分の最高高度でのsin値を使い、それを6等分して、卯〜午刻までのそれぞれの境界となる時刻を計算してみた。そしてその値を使って9月18日の猫の目時計を較正することを試みた。
計算については『太陽高度(一日の変化)』の御世話になった。
時差などを考えると、当然、何処でというのが問題になるが、COMPLEX CATさんのブログ等から推測を行った。
09月23日(秋分) | 09月18日 | |
明六つ(卯刻) | 〜6:45 | 〜6:45 |
五つ(辰刻) | 6:45〜8:00 | 6:45〜8:00 |
四つ(巳刻) | 8:00〜9:45 | 8:00〜9:45 |
九つ(午刻) | 9:45〜14:15 | 9:45〜14:15 |
八つ(未刻) | 14:15〜16:00 | 14:15〜16:15 |
七つ(申刻) | 16:00〜17:15 | 16:15〜17:30 |
暮六つ(酉刻) | 17:15〜 | 17:30〜 |
ということで、猫の目時計では五つだが四つに非常に近い時刻での撮影ということになったが、チコさんの瞳はタマゴとか柿の種とは言い難い。考えられる要素として、他には明るい地域なのかもしれない。
どっちにしても、猫が生き物であることを除いても、猫の目時計の較正は一筋縄ではいかないようだ。1刻くらいは平気でズレる。