好著と残念な本

四柱推命の好著

林秀靜さんの四柱推命の新刊となる「日本で一番わかりやすい四柱推命の本」が出た。暦作成で参加したのと校正をちょっぴり手伝ったのだが、その御蔭で奥書に名前が出ることになった。それだからというわけではなく、これは間違いなく好著だと思う。四柱推命の入門から中級をカバーしており、読者に四柱推命の格局と本来の意味での用神をなんとしても理解させようとして心血が注がれている。

そういった意味で、四柱推命の入門書として本格派なのは間違いなく、また『日本で一番わかりやすい』と表題にあるように、親しみやすいレイアウトを駆使して、入門者にはハードな概念である格局と用神を説明しようとしている。四柱推命はそれなりやったという人でも、格局と用神が別物ということを理解していない人が多いので、この本で四柱推命に出会えた人は幸運というべきだろう。

紫微斗数の非常に残念な本

私が作成した自動の紫微斗数では、知っている人は知っているように術友の椎羅さんからの許可の上で「紫微斗数入門」のテキストデータから占い結果の文言を起こして使用している。

最近、その椎羅さんの「紫微斗数入門」をてにをはを変えたレベルで流用し、さも自分の文章のように書いた本が『中島多加仁』名義で出版された。酷い話である。紫微斗数を自分で勉強してみたい方は、そんな本よりも椎羅さんのオリジナルに当たってみるべきだろう。ここのエントリからダウンロードできます。

なおその本には椎羅さんが「紫微斗数入門」を著者に提供したかのように書いてあるが、そういったことは一切ない。何の問い合わせもなかったそうだ。それと私のハンドルも出てきて、私が何か資料を提供したかのように書いてあるが、出版に際して私、そして椎羅さんに一切何の連絡もなかった。多分、村野大衡先生についても同じだろう。

家康が好い事言った。

2chまとめサイトの一つであるアルファルファモザイクに『学問の世界が、中世から近世的なものへと切り替わった瞬間とも言われる、有名なお話。』というタイトルのエントリがあった。そのエントリによると、徳川家康征夷大将軍に就任した慶長8年(1603年)に「四書新注」「太平記」「徒然草」などの公開講座の計画が持ち上がったそうだ。これに対して明経道の家柄であった清原家あたりが横やりを入れてきたらしい。今川氏真を使って家康に以下のような論理で公開講座を禁止させようとしたそうな。

学問とは、代々それを受け継いだ師が、その伝統の秘伝を含め弟子に教え伝えることで始めて成就するものです。それを公開し誰にでも学べるようにする、などと言う事は、学問そのものを破壊してしまいます。

それに対して家康は以下のように答えて、公開講座に賛成したという。

師につかなければ、学べないようなものは、学問ではない。芸だ。
学問とは、何から学ぼうが、学ぶ者の努力次第で、天下万民、誰でも会得できるものでなければならない。

公開講座で行われた講義の内容は出版されて、その講義録は日本全国で読まれたそうだ。
占いの世界じゃ「占いは深遠な学問だ」とかいう連中程、占いを芸事にしてるんだよな*1。家康の爪の垢が残っているなら煎じて飲めば良いのに。

*1:私の見聞きした範囲内では、「占いは術だ」って言っている人程、自分の研究成果をオープンにしてる傾向がある。