呪禁道

俺のとは違うなぁ

呪禁(じゅごん)とか呪言(じゅごん)と聞いたら、最近だとやはり『呪術廻戦』の狗巻棘だろうか?私はジジイなので『孔雀王』の王仁丸が浮かんでくる。

   

ただ実際の呪禁はこんな派手なドンパチを行うものではなかった。律令制下では宮内省典薬寮という皇族などを対象とした医療機関の中に呪禁道*1が設置されていた。どちらかと言うと治すというよりは予防寄りで、呪文や太刀を使って邪霊が寄ってこないようにバリアを作ることが仕事の中心だった。

医学が未発達な世界では、治療のための日時を選定することは重要で*2、特に針灸に関連して、

  • どの経絡、どの経穴を選択するか
  • どの日、どの時に施術するか

を占う必要があった。なので平安の頃だと陰陽道で占うのに必要な知識と典薬寮で必要とされる専門知識には、かなりの重なりがあったと推測できる。
そして、かなりの人員不足があったのだろう、呪禁道は省を越えて陰陽寮に吸収されてしまう。

ということで、呪術廻戦の狗巻棘とか『孔雀王』の王仁丸の呪禁は「俺のとは違うなぁ」って感じだ。

なお私は『臨場』で内野聖陽演じる倉石義男にはかなり否定的な感じを持ってる。倉石義男は鑑識のくせに現場に制服のボタンを留めず乗り込んでくる。鑑識はまず現場の状況を不必要に荒らさないことを考えるはずなのに、倉石は服の裾を引っかけて現場を荒らすかも知れないのにボタンを留めずにやってくるわけだ。とても専門家とは言えない。無頼の表現のつもりなのだろうけど、あまりに安直でプロ中のプロという倉石にはそぐわないと思う。

*1:この『道』は行政機関の名称で、今なら『課』くらいの感じ。

*2:西洋でも瀉血で治療できるという迷信が幅を利かせていた時代には、瀉血の日時選定は医療占星術の中心的なテーマだった。