土曜は雨だった*2

土曜に知人の結婚式があり披露宴に招待していただいたので行ってきた。新郎が私の知人なのだが、新婦は姑さんと同居の新生活OKとのことで、今日日この一事で新婦の人柄が推察される。いい人と出会えてよかったと思う。

私の柄じゃないけど何か一言と頼まれていたので、色々考えていたが持ち時間がどの程度なのかわからなかったので、夫婦生活は異文化コミュニケーションの最たるものだという話をした。長くてよかったのなら謡曲高砂の話をするつもりだった。

謡曲の高砂は江戸時代から庶民の婚礼の席でも謡われるようになったもので*1、落語に仲人を頼まれた植木屋さんが高砂が謡えなくて困る話があるくらい一般的なものだったらしい。謡いが「高砂やこの浦船に帆を揚げて月諸共に出で潮の」で始まる高砂は、旅のシテが須磨海岸高砂で不思議な老夫婦と出会い相生の松*2の奇瑞について聞くという構成になっている。

実は大阪の住之江と兵庫県の相生に生えている松は夫婦の松の木で、謡曲高砂は相生と住之江と生えている所は違っても心が繋がっていれば距離など問題ではないと謡う。つまり夫婦の愛情と信頼が高砂のテーマであり、それ故に婚礼の謡いとなったのだろう。謡曲でも「早、住之江に着きにけり」がリフレインされる。また須磨海岸は白い砂浜で昔から有名で、白と月と出帆は新生活のイメージとして相応しい。雨の日の花嫁は幸せになれるというのが雨の日の結婚式の定番のスピーチだが、占うまでもなくその通りになるだろう。

ただ私としては何故に相生と住之江の松が夫婦の松とされたのかという故事来歴の深い部分を知りたくてたまらなかったりする。

檸檬屋の住枝店主や最近会わない知り合いにも久しぶりに会えたし、料理も美味かったし*3、長すぎもせず短すぎもしないいい披露宴だった。

*1:最近の結婚式で見ることはまずないが

*2:相生という地名は多分この相生の松から来ているのだろう。

*3:この日のためのスペシャルメニューとのことで、シェフが現われて料理の解説をし始めたときには「どっちの料理ショー」を思い出した。