新春架空対談

「お、どういう風の吹き回しかな。架空対談とは。」
「私の場合、他人と喋っている方が考えがまとまりやすいからね。一人二役で適当に色々とりとめもなく喋っていると何か出てくるかなと。」
「確かにそれはそうだ。で、こっちが突っ込みで、そっちが答えるというので良いのかな。」
「とりあえずそれで行こう。」
「じゃとりあえず、今年は何したいね?」
「一つ大きいもので、あれだ。あれは何とか形にしないとね。」
「なるほど。その他には。」
「そうさな。マインスイーパーをデータにしてみようかな。」
「なんだね?そのデータにする、というのは。」
「どの程度一般的に使われているかは知らないけど、何か実験やってデータとろうとしてるとするじゃないですか。で、何発か実験してみて、実験パラメータのどれかに対して系統的に実験結果が変化するという感触が出たときに、よしデータにするか、という感じで系統的にパラメータを変化させて実験結果を測定するわけ。実験屋にとっては割りと自然な言葉使いだとは思うけど、どの程度一般性があるかは知らない。」
「なるほど。で、マインスイーパーについては何かデータになりそうな感触があるわけだ。」
「まあ実験方法については大体のところは抑えられたからね。2沢の場合についてのみデータとってみるとか。主観がデータになりそうで面白い予感はするね。」
「主観をちゃんとデータにした例は色々あるよね。昔々、コダックの副社長がやった人間がどうやって色を認識しているかの実験は綺麗だったね。人間の主観も相対比較による順序付けはかなり確かということで、主観の相対スケールを絶対スケールで較正できるし、較正することでデータにするというアイデアが良かったよね。結果も綺麗で、人間は白からの反射光を使って較正することで、照明の波長特性に関わらず個々の色を認識できるって結果だったかな。」
「まあ手遊びということでマインスイーパーをやってみるかなと。」
「しかし一応物理の実験で学位とった人間が何で占いやってんの?」
「愚問だね。占いは科学ではなくアートなんだよ。物理やってて絵を描く人間に、何でそんな再現性のないものやってんの?って聞くか?化学やっててバンドもやってる人間に、何でそんな不確かなものやってんの?って聞くか?」
「普通、聞かないな。」
「私にとって占いは音楽や絵画と同じくアートなわけ。私は良い占いを美しいと感じるだけのことだよ。ま、何が良い占いかは一口には言えないけど。」
「なるほどね。で、他にやりたいことは?」
太白陰経遁甲巻はちゃんと訳しておきたいね。」
「あ、割と重要だよね。で、あっちと比較検討してみるとさらに面白いかな。」
「それもやるつもり。」
「なるほど。期待せずに待ってるよ。」
「じゃ、今度はこっちが突っ込みに回るけど、今年、丙戌年はどんな年になると思うね。」
「そういうのはガラじゃないけど考えてみますか。丙戌で、どっちも火があるから、火行を喜ぶ人には良い年じゃないかな。ただ戌は火墓だから、何かやりかけてる場合は決着を付けないとね。」
「戌には他に、金行、土行があるけど。」
「よきに付けあしきにつけ火行ほどには無いだろうね。ただ金行を喜ぶ人にとっては丙は金行の官殺だから、凶が多く吉が少ないかな。土行を喜ぶ人にとっては火生土だからその逆かな。」
「後、三碧だけどどう思う?」
「そうさね、北極中心の紫白星の盤を作ると、日本の位置する震宮は暗剣だからね。何か齟齬が色々あるかな。ただ暗剣とはいえ一白だから落ち着いた年ではありそうかな。一応、星が宮を生じているし。こっそり色々やるには良い年かもしれない。まあでも鎗田先生の年筮を見た方がいいだろう。」
「そりゃそうだ。」