房中術と殺し屋


紅壁虎〜ホンピーフー(1)
紅壁虎〜
ホンピーフー(1)

近未来の東京を舞台に、山本貴嗣が女殺し屋「紅壁虎〜ホンピーフー*1」の活躍を描いたマンガが単行本になった。掲載誌はビジネスジャンプ紅壁虎の設定で占い師的に面白いのは、主人公の紅壁虎が房中術の達人というところだ。彼女は房中術を使って男から精を吸い取って自分のエネルギーに変換する*2ことができる。

房中術の「房」は閨房の房でベッドルームを意味しており、房中術はベッドルームで使う術である。房中術ではセックスを媒介として双方がエネルギーの交換をする。房中術の目的は交換したエネルギーを使って不老長寿を得ることである。ただ男が女から、女が男から一方的にエネルギーを奪う方法も伝わっている。

房中術と同じようなものがインドにもあり*3、西洋の魔術師達はインドからそれを取り入れている。男にとっての房中術は、逝きそうになるのを何度も何度もガマンすることになるのだが、正しい道ないし白魔術においては逝ってはいけないことになっている。最後に逝ってしまうと左道ないし黒魔術になってしまう。

さてここまで読んで紅壁虎と同じ殺し屋で絶対逝かない男がいたことを思い出した人もいるかと思う。そうゴルゴ13である。ゴルゴ13はもうとっくに還暦を過ぎていてもおかしくないのに、外部からの妨害以外の原因で狙撃に失敗したことがない。また接近戦においても未だに強い。ゴルゴ13はセルフコントロールのためにヨガまでやっていたらしいが、房中術も使っている*4んじゃないだろうか。

なお紅壁虎の作者である山本貴嗣は、武術に深い愛着と理解を持っている。これとかこれとかこれを一読して欲しい。紅壁虎(1)の96ページで蛮童がヒョイっと相手の腕を折る場面や、141ページから始まる紅壁虎の格闘シーンは、山本貴嗣が同じことができる人間に会って実際にその動きを見た上で描いていると考えて良いだろう。また銃器の扱いにも詳しく現実に起こり得る銃撃戦が描かれていると思う。当然といえば当然だけど射撃時の銃は撃鉄が起きてるし、消音機の付いてない銃の銃声は“ドンドン”で、消音機が付いていると“パンパン”になってる。そして消音機付きの銃でフルオートで連射するとブザーみたいな銃声と細部まで注意が行き届いている。
仁義勇を備えたエロカッコイイ紅壁虎の活躍に今後も期待したい。

*1:日本語だと紅ヤモリ。

*2:また都合が良いことに、紅壁虎の相手を務める蛮童玉三郎はほぼ無限の精力の持ち主だ。

*3:タントラヨーガだったかな。

*4:もっとも、とりみきポリタンではタキタさんが「ただの遅漏じゃないのか」とゴルゴ13と思しき人物に詰め寄っているのだが。