全く異なる2つの形

円盤
 図1. 円盤(森林型) 
ドーナッツ
図2. ドーナツ(砂漠型)

放送大学の東アジア・東南アジアの住文化講座でいうところの、中庭を持つ砂漠型の住居と森林型の中庭の無い住居は、図形の性質として本質的に異なっている。トポロジー的には森林型の住居内の形状は円盤と同相で、砂漠型の四合院の建屋をつないだ形状はドーナツ*1と同相になる。

この円盤とドーナツの形が本質的の異なっていることをしめす良い例として不動点定理がある。不動点がどのようなものであるかの説明は色々あるが、ここでは扇風機で風を起こしてみることにする。すると円盤の中では、必ず少なくとも1点風が吹かない点が発生する。これが不動点である。例えば、扇風機を円盤の縁において円周に沿って風を流せば、円の中心では風が吹かない。

ところがドーナツ型ではこの不動点が存在しない場合が発生する*2。つまり必ず不動点を持つ図形と、不動点の無い場合のある図形という本質的な違いが、円盤とドーナツの間にはある。

ということで、砂漠型の住居が基本になっている中国で生まれた風水が、そのまま日本で適用できるかどうか、今のところかなり疑問に思っている。

*1:ペッタンコだが。

*2:ドーナツの外縁に扇風機をおいて外周にそって風を流せば、ドーナツ内ではどこでも風は吹く。

結界内の空間分割


八方位分割
■■ グリッド分割
図3. 八方位分割. ■■ 図4. グリッド分割.

この円盤とドーナツの違いは、陽宅風水における結界内の空間分割にも影響を及ぼしている可能性もある。日本で住居内の空間分割というと、太極を中心にして八方位に分割するのが一般的であるが、これとは別の分割がある。これは住居を井の字型に分割する方法で、アメリカ風水研究所ではグリッド分割と呼んでいるそうだ。

これも円盤とドーナツの違いから分割方法が異なっているのではないかという予感がある。ラリー・サング師は来年早くに再来日するそうなので、できたらこの辺りについて質問してみたいと考えている。もっとも「理屈はともかく実際これで合ってるから」と一蹴されてしまいそうだけど。

余談

円盤の内部には必ず不動点が発生するが、この不動点の位置や性質を求めるためには、固有方程式を解くことになる。固有方程式の一般型は行列とベクトルの積がベクトルのスカラー倍になっているというものだ。これは物理量を測定する場合にも同じ形態の方程式が出てくる。ベクトルが物理量で行列が測定に相当しており、スカラー値が得られた測定値である。極端な物言いをするなら、物理屋はみんな固有方程式を扱っていることになる。

余談の余談

あそこのあれだけど、「活盤奇門遁甲精義」が出版されて数年になるというのに、気学が奇門遁甲の一部を取り出したものだなんて、よく公開の場で書けるよね。ほんと不勉強な人だ。

ま、これについては修正されていた。(2006/05/27追記