亀蛇に乗る神

龍頭の亀

九州の八代に現れた妙見菩薩は龍の頭を持つ亀である『亀蛇*1』に乗って海を渡ってきたという。妙見菩薩北極星を神格化した玄天上帝*2を尊格化した中国生まれの菩薩だ。元が七星剣を持つ玄天上帝なので妙見菩薩も剣を持っている。遠距離の航海では夜間の北極星の観測は必須だったろう。

さて今回、天理参考館の特別展示の『神仙思想と道教』の展示と石清水八幡宮の宝物殿での『八幡大神の御影~神仏習合の祈り~』の展示を見るために遠出して来た。

まず『八幡大神の御影~神仏習合の祈り~』なのだけど、八幡神と縁の深い神功皇后三韓征伐の絵巻が展示されていた。安曇磯良は志賀海大明神であり長く海中にいたために貝殻その他が付着して醜い姿となっていた。それを恥じた磯良は三韓征伐に当たっての神功皇后の招集に応じなかった。そこで住吉三神が海中に舞台を作って磯良が好む歌舞音曲で誘い出した。海上に現れた磯良は海底にある竜宮城から潮の干満をコントロールする霊力のある干珠、満珠を借り請けて神功皇后に献上した。

展示されていた絵巻は磯良が亀に乗って海中から海上に出て来た部分が展示されていた。この磯良が乗っていた亀の頭がどうみても普通の亀ではなくて角はないものの亀蛇だった。
それで思い出したのが亀に乗る椎根津彦命だった。

椎根津彦命が乗っていたのも亀ではなくて亀蛇だったのかもしれない。

鎮宅霊符神の乗る玄武も亀の部分は亀というよりは亀蛇だ。
亀蛇もまた玄武の表現の1つなのかもしれない。

*1:“キダ”、八代では“ガメ”。角が無いこともある。

*2:真武大帝