占星術という愚かな娘
占星術界隈では、ヨハネス・ケプラーが占星術と天文学について、こう言ったとされている*1。
で、『チ。―地球の運動について―』への割と攻撃的な書評である、銀河孤児亭さんの『「チ。―地球の運動について―」感想。〜歪で不誠実で不愉快なこの傑作漫画について〜』のエントリでのケプラーの扱いが占い師としては酷く気に喰わなかったので、そのケプラーの扱いに対して、
あなただって『チ。』の作者と同じように、話の展開に合わせて事実をチェリーピックしてるじゃないか。
というエントリを上げるつもりで、この有名なケプラーの言葉が原語ではどうだったかを調べ始めたわけだ。
冒頭のケプラーの言葉通り、ケプラーは自らの名を冠する『ケプラーの3法則』をティコ・ブラーエの精密な観測結果から導き出した偉大な天文学者ではあるけれども、生活の糧は占星術から得ていた。ただ完全に仕事として割り切って占星術稼業を続けていたわけではないようで、ケプラー以前のアスペクト(座相)が黄道十二宮間の位置関係であったものを惑星*3間の位置関係として再定義するなど、占星術に対してもかなりの貢献をしている。
ケプラーはニュートンが物理学を確立する前の時代の人であったので、占星術と天文学がケプラーの中でも分離できてなくて色々な葛藤を生んでいたのではなかったろうかと、私は推測している。なので冒頭のケプラーの言葉も字面通りには受け取れないと思う。私は、銀河孤児亭さんの件のエントリにおける占星術師としてのケプラーを一切無視した扱いは『〜歪で不誠実で不愉快〜』だと考える。
英語版もドイツ語版もWikipediaのケプラーの項目にはケプラーの天文学と占星術についての言葉が出てなかった*4ので、とりあえず日本語訳ではあるけれどそれが出ているという『占星術 (文庫クセジュ 535) 』をamazonでポチった。