二柄

徳と刑

韓非子』に『二柄』と名付けられた章がある。二柄というのは、君主が持つ部下を操縦するための2つのハンドルで、韓非は君主が部下を操縦するのに使うことができるのは、この2つのハンドルしかない、どちらか一方であっても決して手放してはならないと強く言っている。この2つのハンドルというのは徳と刑で、徳は功績に対して賞を与えること、刑は失態に対して罰を与えることだ。

実はこの二柄は中国占術にも古くから伝わっている。例えば歳徳と歳刑だ。歳徳は年干から出す。良く知られているように陽干は自分自身、陰干は干合する干が徳となる。歳刑は年支から出す。年支が刑するものが歳刑となる。

六壬で重要な神殺に日徳がある。日干の徳が寄宮する支を日徳として扱う。多分、日刑もあったのだろうけれども、日支の刑はことさら言わなくても凶なので、用語としては残らなかったのだろう。日支の刑が干上神なんて相性最悪だよね。

話はもどるけど、ひょっとすると韓非は古くからある徳と刑に法家の思想を載せて二柄を書いたのかもしれない。