合従連衡

中国の戦国時代

古代中国で周王朝の権威が低下し春秋戦国の時代へと移行する。春秋の頃はまだ周の権威が残っていたけれども、大国晋が韓・魏・趙の三国に分裂して戦国時代になると大国は小国を併呑して戦国七雄とよばれる秦・斉・楚・魏・趙・韓・燕と十数の小国だけが残った*1。中でも秦は商鞅を登用して法制度を整備し、いち早く富国強兵に成功する。

史記によれば*2、秦を危険視した楚・魏・趙・韓・燕の6国は同盟を結んだ。同盟を成立させたのが縦横家蘇秦で、同盟した6国が秦を包囲するように南北、縦に並んでいたところから、この同盟は『合従』とよばれている。

一方、秦は他国と二国間で同盟を結ぶことで合従を切り崩して行く。これを進めたのが、合従の蘇秦と並んで有名な張儀だ。秦を起点とする二国間の同盟は大まかに東西、横に並ぶことになるので、この同盟は『連衡』*3とよばれている。

なんでこんな話をしてきたかというと、Quoraでこんな質問があがっていたからだ。

平たく言うと、環太平洋パートナーシップ(TPP)とは何ですか?範囲と意図は何ですか?

急速な経済成長を背景に領土的野心を隠そうともしない中国への包囲網として構想されたのがTPPだと私は考えている。英語の“China”の元になったのが『秦』だと言われているけれども、合従の現代版がTPPなわけだ。中国を軸とするAIIBなんかは連衡の現代版と言えるだろう。

米国大統領のトランプは前任者のオバマを全否定することを優先してTPPから抜けてしまったけど、TPP復帰は考えてみた方が良いと思うね。

*1:春秋時代には200以上の諸侯国があった。

*2:最近の研究では、史記は現実とは異なっているそうだ。張儀-Wikipedia

*3:『衡』には横の意味がある。