沙悟浄と猪八戒についてダラダラと

頭に皿を乗せた水怪は中国にいないよね

日本で西遊記沙悟浄というとカッパで固定化されているけれども、中国古典文学大系の挿絵に出てくる沙悟浄は色黒の入道になっている。まぁ頭に皿を乗せた水怪は中国にいないということだ。沙悟浄は流砂河という流砂を根城にしていて玄奘三蔵の前世である僧を何代もに渡って喰らってその髑髏をつないだものを首飾りにしているという設定になっている。この流砂河がいつの間にか水が流れる河になってしまったために、沙悟浄は水怪ということになってしまった。日本にくると水怪→カッパだろ、で沙悟浄はカッパになってしまった。ちょっと気の毒な感じがする。

それと沙悟浄の前身は深沙大将という護法神で、現実の玄奘三蔵は難所である流沙河で深沙大将の幻想を見て、深沙大将に励まされたと自らの著書である『大唐西域記』に書き残しているそうだ。なので玄奘三蔵の最初の御供は沙悟浄ということになる。

天蓬元帥

で、猪八戒だけど、玄奘三蔵の御供としては一番最後に加わった感じだ。元々は銀河の水軍を指揮する提督として、天蓬元帥とよばれていたことになっている。実は奇門遁甲の盤の要素に九天星がありその中に『天蓬星』があり、天蓬星の定位は坎宮で坎宮は北方に位置し五行は水となる。つまり天蓬星は水と関連しているので銀河の水軍の提督となったのだろう。

それと猪八戒は『木母』とよばれることがある。例えば100回本の西遊記の32回のタイトルは『平頂山功曹伝信 蓮花洞木母逢災』となっている。意味としては「平頂山で功曹(という使い走りの神が)情報を伝え、蓮花洞で猪八戒が災難に逢う」だ。さて猪八戒は豚が混じっているので十二支は亥ということになる。五行の木は亥に生まれ、卯に旺じて、未で墓に入る。また亥は水行で木行を生じる。つまり亥は木行の母ということで、猪八戒には木母の別名がある。

猪八戒の武器は『九歯の馬鍬』なんだけど、中国古典文学大系の挿絵を見ると太い釘バットみたいな感じで鍬には見えない。

こういう話も沢山あるので、原典に忠実な訳の西遊記は一読する価値があると思うよ。