風水という言葉を乱用する人達

目についた所で4人くらい

小林祥晃さんから始まった『風水』という言葉の乱用は様々な所に波及している。ちょっと軽め、つまり九星の家相を風水と言い張る人から始めるとしましょうか。まずは乱用を始めた小林祥晃さん。

Dr.コパの終活開運法「人脈の頂点にいることを自覚せよ」』という記事で、こんなことを書いている。

まずは、家の中の方位別に司る運気を紹介しよう。

  • 東…仕事、チャレンジ精神
  • 南…才能、人気、美しさ
  • 西…実り(金運)
  • 北…信頼、秘密、男女の愛

こういう方位毎に象意を固定した見方は家相であって風水とは違うよね。相も変わらず九星の家相を風水と言い張っているわけだ。まあ風水は自分を取り巻く静的な環境の吉凶を論じるものなので、風水の一流派と強弁できなくもないけどね。

で、同様なのが直居由美里さん。『風水で見る「健康に過ごせる家」って?玄関や寝室に気を配ろう』という記事でこんなことを書いてる。

「気の入り口である玄関は、風水では最も重要なエリア。あらゆる運気を左右します。陽の気が溢れる南東が吉とされ、東や南も好ましい。逆に、鬼門の北東や裏鬼門の南西は避けたいですね。

まんま九星の家相だよね。風水だと玄関は便利の好い向きに付けて、それによって決まる理気に合わせて間取りを決めるものだと思っていたけどなぁ。それと『中国4000年の環境学ともいえる風水』とか書いてるけど、九星の家相が出現したのは幕末あたりなので、せいぜいが200年くらいの歴史です。まあ、中国4000年も結構なフカシで、風水の言葉の元になったと言われている郭璞によるとされる『葬経』*1が文献的に遡れるのは宋の時代なのだそうで、文献的に確実なのは1000年くらいみたいだけど。

で、ここからは、もっと酷い乱用の例になります。もう風水の本来の意味からかけ離れて、風水=占い、くらいの感じで乱用してる。月香さんという方の、『人やモノを動かす! 暑中見舞いに秘められたパワーとは』という記事なんだけど、このタイトルで風水の記事らしいです。こうあります。

文月(ふみづき)ともいわれる7月。暑い夏は火のエネルギーが強いときです。火のエネルギーは、伝える力、目的達成の力が強まります。今回は人やモノを動かして開運する暑中見舞いの風水術です。

ね、風水術とあるでしょ。で、書中見舞いと風水になんの関連があるのでしょう。ついでに言えば、7月の後半は土用なので土が強く火は休に入っているのですけどね。それと文月は太陰太陽暦に基づいた呼び方なので、7月は水無月とよんでもらいたいなぁ。

次はもっと凄いです。小池雅章さんの『宇宙風水 星の動きを知れば、すべての幸せは手に入る』ですよ。宇宙風水、風水の別名の『地理』はどこに行ったのでしょうか。目次を見ると占星術みたいでしたが。

ちょっと目についただけでこうなので、他にも一杯あるんでしょうね。

*1:郭璞が『葬経』を書いたという確実な証拠はないらしい。