シンプルな易経の解説書

20130107131216
易経
ビギナーズ・クラシックス
中国の古典
角川ソフィア文庫

風水講義』の著者である三浦國雄先生が書かれた『易経』の解説書があるというので購入してみた。文庫本1冊のスペースにどうやって易経を詰め込んだのだろうと考えたのだが、一読して謎が解けた。

この本は、いわゆる『易経』から全ての『伝』を取り除いて『経』の部分のみを解説しているのだ。多くの場合『経』と一体化している『彖伝』や『象伝』すらない。しかしその分、『経』の解説は丁寧で、卦名と卦画*1の後に三浦先生による卦辞・爻辞の解釈があり、続いて原文の読み下しと原文が出ている。次に原文を解釈するために必要な語注が詳しく書かれている。そして最後に古今の占例が解説されている。また三浦先生の解釈も原文に忠実なものとなっている。『貞』を『問う』としているのも『易経』が生まれた頃の用語法に忠実なものとなっている。

考えてみれば、最も原初の『易経』には卦画と爻辞しかなかった*2わけで、こういった易経の解説書があって当然という気もする。何より文庫本なので手軽に持ち歩くことができる。良い本だと思う。

*1:できたらもう少し大きい方が良いように思う。

*2:元勇準博士の研究による。