暦と術

斗柄舎内部資料である『暦についての概説』はniftyの小額決済のシステムが廃止になってからずっと非売品のままになっている。その『始めに』でこう書いた。

術数と暦法は密接に関係している。暦法毎に術が一つあるといってもいいだろう。

紫微斗数で使用するべき暦は、

  • 太陰太陽暦
  • 日の境界は23時であり、23時を越えると次の日

というものだ。ところが一般に流布している万年暦は、各国の天文台が作成しているデータをそのまま使っているので、0時をもって日の境界としている。なので厳密には紫微斗数用の暦とは言い難い部分があるわけだ。しかも紫微斗数には『どのタイムゾーンで暦を作成するべきか』という問題が必ず付きまとうことになる。

術理を尽くしきった*1としても、術つまり“arts”である以上、とこかで運用で逃げないといけない部分はあるけれども、それでも術理は尽くすべきだろう。ということで2033年問題について理解できてなかったid:abekazukiクンが自身の『命占と暦』というエントリで、

私としては、このことに対してそれぞれの命占の設計概念を理解し
それぞれの本質を問うた采配を心掛ければ良いのではないかと考えています。

なんて書いているのをみると、端から術理を尽くすことを投げているようにしか見えないのは私の僻目かね?今なら“Swiss Ephemeris”を使って如何様な暦でも作成可能なんだし、id:abekazukiクンも私のプログラミング能力をdisるくらいのエンジニアなんだから、ちゃんと暦から作ってみるべきだと思うね。

ついでに言うと、

極論になりますが、誤謬と誤謬で正解が導かれるケースもありますよね。
特に紫微の様な、きめ細かい事象が見とれる類の命占は
なんとなく当たる場合が多いですから、なんとなく良い結論になり場合もあったりします。

なんてのは『当りに不思議の当りあり。外れに不思議の外れなし』の類だよ。あんまり僥倖に期待してると術に見放されちゃうよ。自分が術を選んだつもりでも、実は術に選ばれているのだ、というのは鎗田先生が『道が決める』で言ってる通りだ。

もっとついでだけど、

東西問わず占星術の力量は暦を理解が必修であったようです。

は、日本語でオケの類だな。「貴方犯人です。」を思い出した。

*1:不可能だけれどもね。