方位計算の搦手

先日の日記で「どうやら解析的には解けないようだ」と書いたけど、どうやら搦手があったようだ。

  • 任意のルート上を時刻によって変化する速度\vec v(t)で移動する。
  • 移動による方位の効果をfと表記してfは線形と仮定する。

すると、

移動に要した時間をn分割して、ある時刻t_iにおける移動の効果は、
\Large{f(\vec v(t_i)\Delta t)}
となる。移動にかかった時間全体では、
\Large \sum_{i=0}^{n-1} f(\vec v(t_i)\Delta t)
となるが、fが線形なので、
\Large \sum_{i=0}^{n-1} f(\vec v(t_i)\Delta t) = f(\sum_{i=0}^{n-1} \vec v(t_i)\Delta t)

がほとんどの状況下で成立する。このとき、ある時刻tでの位置ベクトルを\vec P(t)とすると、

\large \lim_{n\to\infty}\sum_{i=0}^{n-1}\vec v(t_i)\Delta t = \int_{t_1}^{t_2}\vec v(t)dt = \vec P(t_2) - \vec P(t_1)

となるので途中経過は関係なく、出発点と到着点で方位の効果が決まってしまう。つまりこれは、移動に使うのが大圏航路であろうと等角航路であろうと、移動の方位の効果が同じになるということをしめしている。

つまり航路上で航路と子午線の交差角である方位が変化する大圏航路であっても、等角航路上であっても、航路にそって方位を積分すれば、平均的な移動の方位として同じ方位が得られることになる。当然、等角航路上では方位は変化しないので、移動の方位は等角航路で得られる方位そのものになる。より直感的には、大圏航路をメルカトル図法の地図上に射影して、その移動の方位をなぞれば等角航路で得られる方位になってしまうということで理解できるだろう。
2011年09月12日追記
以下の図は正しいメルカトル図法ではありません。申し訳ありませんでした。


メルカトル図法での大圏航路

地球規模での移動の方位について、これまでは今いる地点と目標地点をつなぐ大圏航路が現在地でなす子午線との角度として理解していた。しかし現実に移動するということになると、等角航路で移動したのと同じになってしまうということが確認できた。今後は認識を改めることにする。

もっとも等角航路の方位となるのは、実際の移動を伴う動的な方位であって、移動を伴わない静的な方位はやはり大圏航路が子午線となす角度で決まるだろう。これはメッカの方位が大圏航路で決まっているのと同じだ。地球規模では、静的な方位と動的な方位が、その役割だけではなく、値としても異なっているということのようだ。

ということで前回の数値計算の結果にはかなりの誤差があったと考えて良いだろう。