帰蔵之法と歴史

先日のエントリで書いた、帰蔵の法で出した小成八卦と歴史について少しだけ追ってみた。表にするとこんな感じ。日本は震宮に、中国は巽宮に位置している。震と巽は裏表だから、日本と中国の状況も裏表かな。

年代 日本 中国
帰蔵卦 状況 帰蔵卦 状況
1816-1836 八運艮
離卦
江戸文化、爛熟の時代を迎える。蘭学等、盛んになる。 坎卦
鎖国冊封体制を維持するだけの国力を維持する。
1837-1863 九運離
艮卦
天保の改革による幕府権力の強化を構想するも果たせず。西欧列強からのアプローチに抗しきれず開国。幕府の持つ政治力、軍事力だけでは西欧列強に対抗できないことがはっきりした時代。 兌卦
アヘン戦争を経て、清朝の権力が弱体化して行く期間。
1864-1881 一運坎
兌卦
幕末から明治への移行期間。旧体制の破壊がほぼ完了した。自由民権運動の種がいくつか蒔かれた。 艮卦
反乱とその鎮圧の繰り返しの期間。特にイスラム教徒による反乱が多く、それに伴って西域での軍事活動と国境の確定。西欧諸国が大陸進出のための橋頭堡を確保した。
1882-1905 二運坤
震卦
自由民権運動の勃興と議会制度の誕生。学校制度の制定と私学の創設が相次いだ期間。新企業が勃興。日清・日露戦争によって朝鮮半島を支配する準備が整った。 巽卦
政治が混乱。清仏戦争日清戦争の敗戦を通じて冊封体制解体。西欧列強が国境や海岸部大都市から蚕食を開始。
1906-1929 三運震
坤卦
日韓併合満州国建国で軍事的にはほぼ安全となる。国内では労働争議頻発、過激化。大正デモクラシーを経るも軍部の政治力の拡大に抵抗できず。 乾卦
清朝瓦解。長い内戦および日中戦争の時代を迎える。
1930-1953 四運巽
乾卦
太平洋戦争に突入そして敗戦。独立の回復を経て敗戦の後処理が概ね完了。 坤卦
中華人民共和国が成立、大陸を統一。
1954-1974 六運乾
巽卦
高度経済成長時代。先進国の一隅を占めるようになる。公害が問題となる。 震卦
毛沢東の時代。国際社会から中国の正統な代表と認知される。
1975-1995 七運兌
坎卦
世界第二位の経済力を有した時代。その後バブルへ突入。バブルの処理に失敗、失われた10年と呼ばれる不況の時代に突入。 離卦
毛沢東の後始末の時代。改革開放路線に舵を切る。
1996-2016 八運艮
離卦
実感の伴わない好況。今までの日本のシステムが実際に合わないことがはっきりしてきた期間。アニメ等、世界での評価高まる。 坎卦
世界の工場とよばれ、経済的に発展。しかし多分、バブルとその後始末の時代。

こうしてまとめてみると、帰蔵卦の小成八卦としてのイメージと時代の雰囲気が素直には一致していないようにも感じる。各運の卦を紫白星から出したのが正しくなかったかもしれない。ただ前回の八運も今回の八運も、日本が文化面で発展したのは共通していると考えて良いかもしれない。これは離の象だろう。

ざっと見た感じでは、乾卦には戦争・内乱の象があり、坤卦には国内の安定の象があるように見える。また兌卦や艮卦には中央政権の弱体化の象があり、特に兌卦の場合には政権交代まで進むことがある。離卦には文化の発展の象*1、坎卦には経済発展からバブルの象がある。また震卦には国際社会での認知の象が見える。これらは日本と中国で割りと共通しているように見える。ただ巽卦では、日本は高度経済成長しているが、中国は欧米列強からの侵略にやられっぱなしに見える。巽卦については共通した象意が出ていない感じだ。

*1:中国では文化大革命といういう名の文化への弾圧が終わった時期に離卦が来ている。