金口訣六壬と占事略决

ちょっと思うところがあって金口訣六壬について少し調べている。それで陳先生*1に御願いして米鴻賓先生の書かれた金口訣六壬の資料はありませんかと相談してみたところ、米先生が注釈された「六壬神課金口訣心髄指要」を送って頂く事になった。この場を借りて陳先生に厚く御礼申し上げたい。かなり密度の高い本なので、なかなか読み進めることができないが、上巻の貴神治旦暮の項にちょっとショックに近いものを感じた。引用してみる。

貴神治旦暮
経曰:天乙貴人,在紫微宮門外,乃天皇大帝下游十二辰位,家居己丑,于斗牛之次執*2玉衡,均同天人之事。不居魁剛*3者,以河魁主獄,天剛主牢故也。
甲戌庚日旦治大吉,暮治小吉;乙己日旦治神后,暮治伝送;丙丁日旦治登明,暮治従魁;六辛日旦治勝光,暮治功曹;壬癸日旦治太乙,暮太冲。
天乙在東,南前北后。天乙在南,東前西后*4。天乙在西,南前北后*5。天乙在北,東前西后。
当向地戸背天門,以天門地戸為界。昼夜有長短,晨昏有早晩。以星没為旦,星出為暮*6,則旦暮所臨可知。

何が驚いたって、占事略决の「天一治法第三」と貴人の出し方の記述がソックリなのだ。

天一治法第三
欲知諸将前後、以天一為首。天一在亥上、以子為前、以戌為後、天一在戌上、以酉為前、以亥為後。天一在辰上、以巳為前、以卯後。天一在巳上、以辰為前、以午為後。常背天門向地戸(所向為前所背為後)。
甲戌庚、旦治大吉、暮治小吉。乙己、旦治神后、暮治伝送。丙丁、旦治徴明、暮治従魁。六辛、旦治勝光、暮治功曹。壬癸、旦治太一、暮大衝。
旦暮治法、従寅至酉為旦。従戌至丑為暮。

以前、玄珠さんから金口訣六壬の貴人法は古形をよく残していると聞いたが、略决と書き方までソックリとは驚いた。最も古形の貴人歌を素直に読めばこうなるのだろうと思う。

*1:当然、陳希夷を名乗る御仁とは別の人。この言い回しにも飽きてきたので、正しく御名前を書きたいのだが、Windows拡張文字の領域にコードポイントがある文字が必要なので仕方がない。

*2:原本では手偏に丸。

*3:原本では目皿に正。

*4:多分、西前東后の誤記。

*5:多分、北前南后の誤記。玄珠さんのコメントを参照のこと。

*6:原本では「幕」だが当然「暮」の誤記だろう。