六壬の基本である天地盤と恒星時の関係について考えてみることにする。本論に入る前に恒星時についておさらいしておこう。
地球の公転と自転、恒星時
右図は太陽と地球の位置関係を模式的に表したものである。地球は自転しながら太陽の周囲を公転している。
地球が地球1の位置にあるとき太陽を観測した時に太陽が南中しているとすると、観測者は地球の中心と太陽の中心を結んだ線が地表と交わる点で表される位置にいることになる。
次に地球が地球1の位置から1自転する間に地球2の位置に移動するとする。観測者は、地球の中心から「地球から見て太陽が1自転前ににあった方向」に引いた直線と地表が交わる点で表される位置にいるので、太陽は観測者の頭上にない。つまり太陽は南中していない。
この簡単なモデルからわかるように、太陽を基準にした時刻と地球の自転を基準にした時刻は異なっており、地球の自転を基準にした時刻は太陽を基準にした時刻よりも進んでいる。自転を基準にした時刻は恒星時、太陽を基準にした時刻は太陽時と呼ばれている。恒星時の進みは日々累積されていって地球が1公転したときに太陽時よりもまる1日進むことになる。
余談だが地球の軌道が真円でないために、公転軌道上の地球の位置*1によって地球の公転速度が異なっており、恒星時による1日が経過したときの太陽の位置はそれにともなってバラツキをもつため、実際の時刻はもっと複雑なことになる。*2
閑話休題、上記のように毎日毎日、地球が1自転する毎に太陽は遅れて行きその遅れの累積は1年で1日になる。また1ヶ月では約30度分太陽は遅れることになり、これはおよそ2時間の遅れとなる。
天地盤と恒星時
占事略决の冒頭が「常以月将加占時」で始まっているように、地盤の時支の上に月将支を置いて十二支を順に配布して天盤を作成するというのは六壬の基本中の基本である。
さて中気の節がきて月将が切り替ると月将支は1つ遅れることになり、先に述べた太陽時と恒星時の関係に良く似ていることがわかる。そこで2003年3月の春分節付近を例にして、実際の平均恒星時*3と、六壬の天地盤から計算した恒星時の時刻による変化を図にしてみた。
細い直線が計算した平均恒星時で、太いカクカクした線が天地盤から求めた恒星時である。天地盤の恒星時が平均恒星時の直線に絡み合っているのが理想的な状態だが、春分の手前では天地盤の恒星時が平均恒星時の直線から離れてしまっている。
この状態が春分を越えると、天地盤の恒星時が平均恒星時に絡むように変化して、天地盤の恒星時が正しく平均恒星時を近似する状態になっていることが図から見てとれる。
これらを基に私見を述べるなら、
- 天地盤の作成は恒星時を基にしたホロスコープチャートの作成に近い作業である。
- 中気節入りの2、3日前から月将を変えるのもあり。
- 計算した恒星時から天地盤を作成する方が有効かもしれない。
ということになる。